Lass uns an die Tür klopfen?

とある教会音楽家の徒然日記

Lass uns an die Tür klopfen!

その扉をたたいてみよう!
ドイツ・ザクセン州の街ヴルツェンに住む教会音楽家の日々を綴っています
扉をたたく?
教会音楽ってなぁに?

やったもん勝ち

人生やったもん勝ちなんだな、と思ったチェンバロの試験。
教会音楽科は通奏低音が二年間必修ですが、その二年が終わると学べるチャンスゼロ。
もっと通奏もチェンバロも続けたいと思い、副科で履修しています。
試演会での演奏が試験として評価されるということで、期末まで待たずに試験終わらせたい!と思っていたら、まさかのチャンス到来により内容が盛りだくさんというか非常にハードに…。
先生からも、もはや副科ではないね…と言われる始末。
第一ラウンドはヘンデルのトリオソナタ。

Handel: Trio in do mineur HWV 386a - YouTube

上はYou Tubeの参考音源。
リコーダーの学生が誘ってくれて一緒にやらせてもらった今回は、バイオリンとリコーダー、チェンバロという編成。
聞いていただくとわかるのですが、2曲目と4曲目が鬼のように速く、しかもチェロがいないため左手も全部ちゃんと弾かないとマズイという荒行…。
数字譜に慣れてきたとはいえ、さすがに全楽章は困難を極め…。
チェンバロだけに集中できればいいけれどそうは行かず…。
正直本番当日まで頭を抱えました。
本番はなんとかこぎ着けた!という表現がピッタリではあったけれど、自分でも短期間で打破できたことに正直驚きを隠せず(笑)

そして第二ラウンドは、まさかの協奏曲のソリスト!
バッハが作った複数台のチェンバロ協奏曲たちの中から、4台用BWV 1065のチームに入れてもらいました。

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「ジャンジャンジャン!って和音いっぱいで簡単だから、弾かない?」というチェンバロ科教授の誘い文句に騙されました(笑)
1楽章、A4一枚分ほとんど私が主旋律じゃないか…(大汗)
しかもヴィヴァルディ先生のヴァイオリン協奏曲からのバッハ先生による編曲、ヴァイオリンじゃ簡単であろう音の跳び方が手になじまないなじまない…。
合わせでは弾きにくい、そして数えにくいで全員四苦八苦。
しかし4台が同時に鳴ると、響きが未知との遭遇、オルガンともまた違う。
あきらかに宇宙が見える。すごい星屑!
すごく感動に浸りたいけど、周りの3人はまさかの全員チェンバロ本科生…。
とにかく自分がブラックホールになるわけには行かない。
教授からは、音小さいからもっと弾いて、と言われ、チェンバロを鳴らすことを必死に研究…。
オルガンの弾き方だとチェンバロは響かないんですよね。
4人のかけ合い、自分のソロ、デュオ、弦楽器と一緒、いろんなパターンがめまぐるしいこの曲、振り落とされそうな中で(笑)自分の頭をどんどん切り替えていくのに本当にいい勉強になりました。

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本番は試験であることを完全に忘れ、ひたすら楽しんでいた私。
チェンバリストでもない私がこんな協奏曲を弾けるなんて、正直一生に一度あるかないか。
いただけたチャンスは掴む、どんなことがあっても。
このスタンスは間違ってなかったな、と改めて思いました。
たとえ失敗しても、やらなかったら何も得られないし、やらなかったことへの後悔なんて引きずりたくないし。
そう、人生やったもん勝ち。
すべての事象を、過ぎていく時間も自分の血肉にして身につけたい。

さ、次のドアを叩きましょうか。