Lass uns an die Tür klopfen?

とある教会音楽家の徒然日記

Lass uns an die Tür klopfen!

その扉をたたいてみよう!
ドイツ・ザクセン州の街ヴルツェンに住む教会音楽家の日々を綴っています
扉をたたく?
教会音楽ってなぁに?

ずっと一緒

先日奏楽をしたお葬式でのこと。

お葬式での奏楽は、ご遺族から直接連絡をいただき、リクエストがあれば曲目などを指定していただいています。
携帯電話が鳴り着信を見たら、6月にお式があったご家族の電話番号。
領収書とか未提出書類あったかしら?と不思議に思いながら出たところ、またお葬式を教会式で申し込んだので弾いてほしいとのこと。
”また?同じ家族からってどういうこと?”
話が見えず頭は混乱。
よく話を聞いたところ、6月のお式でお別れした男性の奥様が亡くなったと。
男性は96歳の大往生。
たしかにお式には痴呆症のためお話はできなかったけど車椅子に乗った奥様がいらした…。
この夏の暑さと寂しさで一気に弱られ、後を追うように亡くなられたと。
6月の牧師さんによるご主人の生涯の紹介では、同い年のご夫婦で庭師だった、とあったから、奥様も同じく大往生。

ご家族からはお葬式はゆったりと明るい曲にしてほしい、というお話を、そして牧師さんからは収穫祭の賛美歌の中でも明るい曲のリクエスト。
故人の遺言かしら?と思いつつ当日を迎え、故人の紹介を聞いてようやく腑に落ちたのです。

収穫祭の賛美歌は、ご夫婦が庭師だったから。
そして、葬儀の日はご夫婦の69回目の結婚記念日だから明るい曲で送りたいと。

紹介を聞いていて、数字を聞き間違えた?と思うくらい69回目という数字にはビックリしましたが、ご夫婦揃っての大往生。
ありえない事ではない…。
それにしても、68年を共に生き、69回目は天国で一緒に過ごす。

悩める時も病める時もずっと一緒。

その誓いがこうまで守られるとは…。
もう会うことができない家族にとっては悲しいけれど、
どんな時も二人は一緒、という強い絆、素晴らしい奇跡のような瞬間に立ち合わせていただきました。