Lass uns an die Tür klopfen?

とある教会音楽家の徒然日記

Lass uns an die Tür klopfen!

その扉をたたいてみよう!
ドイツ・ザクセン州の街ヴルツェンに住む教会音楽家の日々を綴っています
扉をたたく?
教会音楽ってなぁに?

滝と嵐と

ライプツィヒに戻った翌々日はまさかの出張研修。
ザクセン州の教会本部があるドレスデンまで日帰り。
特急で1時間強なのでまったく問題はないのですが、この日は特別でございました。

まず6時間に及ぶ研修。
この2年で新しい教会に勤め始めたカントールが対象、つまり、ベテランさんもド新人も異動した人はみんな一緒。
内容は講義を聞いたりビデオを見たりなんて一切なく、自分が仕事先で感じるエトセトラを出し合い、皆で議論していくというドイツらしいもの。
カントールと言えど教会ごとに立ち位置が異なります。
牧師さん、または教会員と相性がいいかどうかは働き始めないとわからないもの。
円滑に事が進まないストレスを訴える人もあり、また音楽以外の仕事の多さを嘆く人もあり。
まあ出るわ出るわ、滝のように。

相性に関していえば、私は本当に恵まれていますから問題なし。
仕事の多さ?まあ、集会の準備とか塔の時計を管理するとか、バラエティに富んでるのはどこも一緒。
私は契約上Cランク40%分のお給料に、追加の音楽のお仕事分をタウハの音楽協会から月給でいただいておりますが、実際の仕事量は1つ上のBランク100%と変わらず、かなりのハイクオリティを求められていることを考えたら最上級のAランク状態の仕事。
その話題、言ってもキリがないし、正直振ってほしくないなぁと思っても、このディスカッションの中無言というのは避けられず…。
いやいや、大変なのはわかりますけどね、同じ仕事量で私より好条件でお給料もらってる皆さんがうらやましいですよ、と言ったら、全員が黙りました(笑)
いいんです、解決するためのディスカッションじゃないので、黙るよりは発言することを優先するとこうなります(笑)

6時間も延々とディスカッション。
私は頭がしびれますが、これ、大事だと思います。
カントールは各教会に1人しかいない。つまりチームメイトがいないのです。
教会員や牧師さんと反りが合わないうえに同業の相談相手も無しとなると、孤独の深淵に突き落とされるようなもの。
そんな状況でこの激務はなかなか耐えられるものではない。
進行役の方は元カントールで今はカウンセラーとして働いているそうで、とにかく思ってること、言葉にならないけど心に渦巻いてるドロドロを見事に引き出して浄化させてくれる人。
いろいろ言ってた先輩も、最後は笑顔で帰っていきました。

さて、この日は特別でございました。
ハリケーンFriederike来襲のため、午後から凄い風。
研修の終わった17時には、外では立ってられないし、片足を踏み出した瞬間、浮く瞬間が何度もあるほど。
やっとの思いでドレスデンの中央駅に行くと、そこには麗しいほどの欠航の文字が…。

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国の命令での全線不通。明日までは解除されないと…。
終わったな、時差ボケで頭も働かんというのに。
そう思い、とりあえず電車に乗れても長時間缶詰になることを覚悟し、食料とお水を調達。
駅員さんに、で、どうよ?と聞き始めたとき、
”ライプツィヒ行く人いますか~?”
別の駅員さんがタクシーに乗る人を集めて送り出してくれました。

これですぐに帰れるわ~。この向かい風だし2時間コースかな?

安心するのはまだ早かった。
風で9人乗りのワゴンの車体が横揺れしてる中120キロは出てる…。
窓からは暗闇に渦巻く雲が見えるし、いろんなものが飛んでくるし…。

生きた心地がしないと思いつつも、私が心配したところで何も変わらないし、睡魔の方が勝っちゃうし。

爆睡してたら1時間で到着。
運転手さん、凄い…。

10日ぶりのドイツでじわじわとドイツらしさを感じた1日でした。