Lass uns an die Tür klopfen?

とある教会音楽家の徒然日記

Lass uns an die Tür klopfen!

その扉をたたいてみよう!
ドイツ・ザクセン州の街ヴルツェンに住む教会音楽家の日々を綴っています
扉をたたく?
教会音楽ってなぁに?

原点回帰

1週間ちょっとの滞在を終え、ライプツィヒに帰ってきています。

もう先週になりますが、横浜シンフォニックアンサンブルさんの定期演奏会があり、そこでホルスト作曲の惑星をご一緒させていただきました。

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日本のコンサートホールにある大オルガンを弾かせていただけるなんて滅多にないチャンス、しかもオケと一緒、大好きな惑星!
友人からの依頼に二つ返事でOKしました。
オルガンの出番が全然ないじゃん?とか友人に言われましたが、そんなのどうでもよろし。

私の音楽の原点はオーケストラ。
中学1年から大学を卒業するまで、朝から晩までオケ漬けだったと言ってもいいくらい。
オケに匹敵する大音響を操るオルガンを弾けるようになった今でも、やっぱりオケっていいよなってよく思います。
一人ひとりが自分のパートに全力で取り組み、それを聞き合い、重ね合わせてやっと一つの音楽にする。
このデジタルな現代に燦然と響き渡る、究極の手作業、人海戦術の世界。

アマチュアオーケストラの演奏会は、日々の仕事や学業の合間を縫って半年ほどコツコツと練習を積み重ねてできあがるもの。
演奏だけではなく、団の運営に関する様々なことも手に取るようにわかる者にとって、今回ほど胃の痛い本番はありませんでした。

パイプオルガンはオケに匹敵する大音響が出せる。
裏を返せば、失敗したらただの破壊行為にほかならない…。

プロなんだしそこはちゃんとしないと!
そうなんですけどね、ホルンでチラッとミスするのとは規模が違い過ぎて…。
しかも火星なんて副題が”戦争をもたらすもの”じゃないですか。
いや、私が”破壊をもたらす者”になりかねない。
うまくいけばジェダイ、下手したらベイダー卿?!
なんて思ってたらアンコールはスターウォーズでした…(笑)

初めましてのオルガンは贅沢なほど長い練習時間をいただき、音チェック用に舞台上のリモートコンソールまで用意され、本当に至れり尽くせり。

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まず室温が20度以上あるということに感動…。(詳しくは冬の過去記事をご覧ください)
そして見事なまでに調律管理されている。
オケの音を想像しつつ、宇宙っぽい音を探す夢のような時間でした。

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わかってはいたけれどビックリしたのが、残響時間。
日本では長い方と聞いてはいましたが、やっぱり短い!
ドイツの銭湯みたいな残響とはだいぶ違う。
そして楽器。
クーン社のオルガンは初めて触りましたが、まぁ弾きやすいこと!
全体にまろやかな音で、最大音量にしても上品。
スペースワールド的な、シュピューン・シャキーンとした音や大地を揺るがす大伽藍というタイプではなく、オケと調和しやすく、包み込むようにじわじわくるタイプの楽器でした。

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ゲネプロ、本番ともに自分の仕事を全うすることができて一安心。
オケの皆さんも骨太なプログラムをもの凄い熱量で演奏していて、自分が弾かない間は振り向いて聞きたくなってしまうほど引き込まれました。

終わった後はもちろんおいしいお酒。
本番まではあまり話せなかったいろんな方とお話できて大満足。
またどこかで一緒に演奏できたら嬉しいです。
オケという自分の原点にじっくり浸ることのできた2日間。
また気持ち新たに音楽に向かっていきたいと思います。

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絶景かな、絶景かな。