Lass uns an die Tür klopfen?

とある教会音楽家の徒然日記

Lass uns an die Tür klopfen!

その扉をたたいてみよう!
ドイツ・ザクセン州の街ヴルツェンに住む教会音楽家の日々を綴っています
扉をたたく?
教会音楽ってなぁに?

イースター

Frohe Ostern!!

ゼメスターが始まってからはドタバタ、先々週の木曜と金曜日は友人の合唱指揮卒業試験プロジェクト演奏会、そして土曜日には聖ニコライ教会のヨハネ受難曲、一昨日聖金曜日はリスト作曲「十字架の道行き」の合唱演奏会でオルガンを弾かせていただきました。
受難節はイエスの死を思う季節。そのため音楽も苦悩苦痛悲しみに満ち、合唱は磔にしろ!!自分たちは悪くない!と叫ぶ始末。
歌うたびに人間という存在の悲しさが沁み、ハーモニーにも歌詞にも精神的な疲労をとても感じます。

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プロジェクト演奏会では「神の子羊」をテーマに、ルネサンスから現代まで幅広いレパートリー。
今回はアルト2だったのですが、最低音はおへそのドより下のミ。低い!
1日目に至ってはオルガン構造学の口頭試問のおかげでずっと睡眠不足だったため、寒く薄暗い教会で集中力を保つのにも四苦八苦。
聖金曜日にも感じたのですが、どんなコンディションでも一定水準のパフォーマンスをするために、肉体改造が絶対不可欠。
教会音楽科に必要なのは、頑丈な身体と運営力。この季節になるといつも感じます。

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ヨハネ受難曲はこの作品の初演の地である聖ニコライ教会にて。
こちらはソプラノ。二部のテンポが超高速で、振り落とされないように必死(笑)


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「十字架の道行き」はもともとハルモニウム(足漕ぎオルガン)と合唱用に作られた作品なのでペダル少なめ、リストのオルガン曲未経験の私にとってとてもいいリスト入門でした。

 

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そして今日のイースター。
朝9時半の聖トーマス教会の礼拝は満員御礼。お天気もよくて教会も久しぶりの明るさ!
トマーナー&ゲヴァントハウスオーケストラもアジアツアーから帰ってきて、少年たちはこの礼拝が最後のお仕事でイースター休暇に入るとか。本当にお疲れさまでした。
そのトマーナー。カントールだったビラーさんが病気を理由に引退後、後任の採用試験が続いています。
4人の候補者のうち3人がすでに合唱団との練習と本番を終えており、来月4人目の試験をもって決定になるのですが、もし適任者がいなければもう一度募集からやり直し。
一旦採用されれば基本的に定年まで務めることになるので、選ぶ方も大変。
しかしカントール不在というのも大変です。
合唱団は訓練されているとはいえ、やはり敏感な少年たち。
現在の代理カントールであるシュヴァルツさんはもともとこの合唱団のヴォイストレーナー。今は大学のシュミット教授がヴォイストレーナーとして入っています。
今日久しぶりにコラールを聞いて、おや?と思ったのは、バスパートの音色が太くなっていること。シュミット教授はかなり太いバスなので、おそらく少年たちはその影響を受けているのでしょう。響きは素晴らしい、ただバランス悪い…。
見た感じ、ちびっこの人数も少なかったからそれも原因かもしれませんが。
積み上げてきた音色は合唱団にとって命と同じようなもの。
新カントールが決まったら、シュヴァルツさんがもとの立場に戻るのか、それとも引退するのか。
伝統あるトマーナーの未来が大きく動く転換点、どうなるか楽しみです。