Lass uns an die Tür klopfen?

とある教会音楽家の徒然日記

Lass uns an die Tür klopfen!

その扉をたたいてみよう!
ライプツィヒに住む教会音楽家の日々を綴っています
扉をたたく?
教会音楽ってなぁに?

ありがとうディーマ!

今日ネットのニュースで知った訃報。

headlines.yahoo.co.jp

バリトン歌手ホロストフスキー死去。
まだまだこれからの55歳。
嘘でしょ?という言葉以外みつからない…。

教会音楽を勉強し始めてからオペラやオーケストラから少し離れ気味だったのですが、もともとオペラが大好きだった私。
そのオペラにハマるきっかけは、初めて生で見たオペラ、
2003年のキーロフ歌劇場のエフゲニー・オネーギンでした。
本当は自分で買ったボリス・ゴドノフが初オペラになるはずだったのですが、学生向けのドレスリハーサル招待が運よく当たって見れたオネーギン。
そのオネーギン役がディーマでした。
チャイコフスキーはもともと大好き、大学で習っていたおかげでロシア語の単語も聞き取れてわくわく、というのもありましたが、
何よりもあの影のある声と舞台姿が完璧にオネーギン!
どこか冷たく憂いと諦念を帯びた様も、愛を訴えるも拒絶されて絶望する様も、すべてが小説で読んだオネーギンそのもので、ぐうの音も出ないほどに感動。
ドレスリハーサルで、これ?本番が見たい!とチケットを探したけれど当然ながら玉砕。
彼のオペラ公演、あの日が最初で最後になるなんて…。
”ホロストフスキーはオネーギンを歌うために生まれてきた”という評価をよく見たけれど、いや、もうディーマ自身がオネーギンなんだと錯覚するほどのハマリ役。
数年後に見たMETのライブビューイングでも彼のオネーギンは炸裂!
カーセンの演出もシンプルかつスタイリッシュで素晴らしく、いまだに何度も見直しては恋するほど。
初オネーギン後、彼の録音を買い漁ったのは言うまでもなく(笑)
行ったことのないはずのロシアをわが故郷のように錯覚させてくれる民謡。
エレツキ―公の、えぐるように心奪われるド直球な愛の告白。
ドイツリートやイタリア歌曲とは全く違う憂いと情熱を秘めたロシア歌曲の数々。
今思えば、ベルリンでのリサイタルが聞けたのは本当にラッキーだった!
私の中のロシア(特に黄金期の帝政ロシア~ソ連時代)のイメージは彼によって作られたと言っても過言ではなく…。

2年以上脳腫瘍と闘いながら歌い続けてきたディーマ。
オペラ歌手の脳を揺らすほどの声量を考えると、本当に大変な闘いだったと思う。
もうあの声を聴けないのは悲しいけれど、その分天国で思う存分歌ってほしい。
ありがとう、ディーマ!

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