Lass uns an die Tür klopfen?

とある教会音楽家の徒然日記

Lass uns an die Tür klopfen!

その扉をたたいてみよう!
ドイツ・ザクセン州の街ヴルツェンに住む教会音楽家の日々を綴っています
扉をたたく?
教会音楽ってなぁに?

そこにオルガンがある限り…

どんな楽器だろうと弾く、というのが私のスタンスです。
パイプが若干へそを曲げていようが、弾いたら鍵盤が戻って来なかろうが、調律がうへぇ…状態だろうが弾きこなせるのが本当のオルガン弾き、と思っています。
なぜなら、日本のように徹底的に過保護なまでに管理され、挙句実は全然稼働していない楽器なんて、ドイツでは珍しいから。

昔から参加している仲間オケの遠征先にもオルガンがあることが多く、最近は少し演奏させていただいています。
日本でのオルガンコネクションを持たない私にとっては本当にありがたいことです。
オケ創設当時の私から見たら、ホルンを持たずに参加している私の現状なんて考えつきもしなかったでしょうね(笑)

さて、先日の徳島公演でもホールのエントランスにパイプオルガンがあり、開場時間中に演奏させていただきました。

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しかし、キリスト教教育を基盤としない徳島文理大学にパイプオルガンというのはちと珍しい。
なぜオルガンがあるのか経緯を聞いたところ、とても深い理由がありました。
大学の前理事長は若い時に太平洋戦争でフィリピンに出征、激戦地で凄惨な毎日を過ごされたそう。
そんな毎日の中、ふと聞こえてきたのが、現地の教会から響くパイプオルガンの音色。
おそらく礼拝で讃美歌の伴奏をしていたのでしょう。
戦争のさなかに偶然に耳にした美しい音色に束の間の心の安らぎを得た彼は、もし日本に生きて帰ることができたら、教育現場に、大学にパイプオルガンを入れたいと強く願い、それが「むらさきホール」で実現したそうです。
心の安息と平和への願いが込められた楽器と聞き、感動しました。

 

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学内にオルガン専攻がないのであまり弾かれる機会はないそうですが、とても素敵な楽器(なんと鍵盤のグロッケン付き!)なので、たくさんの方に弾いて、聞いてもらえたらいいなぁ、と思います。

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黒い鍵盤がグロッケンです。